榛名湖を一周し、ゆうすげの湯に浸かる――夏の伊香保・榛名 その七 | 楽土慢遊

榛名湖を一周し、ゆうすげの湯に浸かる――夏の伊香保・榛名 その七

所在地:
[榛名湖温泉ゆうすげ] 群馬県高崎市榛名湖町846-3
交 通:
伊香保温泉・石段口から榛名湖温泉ゆうすげ行きバス約30分

2013年7月14日(日):晴れ:榛名神社―(バス)→榛名湖バス停―(徒歩)→榛名湖温泉ゆうすげ―(徒歩)→榛名湖バス停→高崎駅→東京駅

■(夏の伊香保・榛名 その六からのつづき)天狗山から再び榛名神社の随神門の前に戻ってきた。榛名湖方面に向かうバスの停留所は、門前町を突っ切った三叉路の近く、歴史民族資料館の向かいにある。バスの本数は少ない。できることなら13:40のバスに乗りたいところで、下山を急げばかろうじて間に合わないこともなかったが、のんびり行くことにした。

次のバスは14:40発。水澤観世音の門前には水沢うどんの店が軒を連ねていたが、榛名神社の門前にはそば処が軒を連ねている。榛名神社散策マップには、「榛名神社門前そば」という呼び方で以下のように説明されている。「榛名神社の門前である社家町では、江戸時代に蕎麦をもてなし料理の一つとして振る舞っていたことから蕎麦を復活させ、この地域の名物となっています。榛名産の地粉を使った蕎麦で、榛名神社の湧水で打ったのど越しの良い手打ち蕎麦です」

ならば名物のそばを食べていこうということになったが、入る店入る店みなそばが終わっていた。連休だからなのかわからないが、早く終わってしまうものらしい。仕方がないので立ち食いの軽食ですまし、しばらくバス停のベンチで待ち、バスに乗り込んだ。榛名湖についたのは14:55。しかし先は長い。榛名湖温泉ゆうすげは湖の対岸にあり、都合よく接続してそちらに向かうようなバスはない。当然、歩くことになる。しかも、榛名湖発高崎駅行きの終バスが出るのは17:10なので、それまでにはまたこのバス停に戻っていなければならない。

本日はまだ十分余力を残しているので、歩くのは苦ではないが、さてどちらから湖を回ればより近いのか。バス停のわきに建つ湖畔亭の女性に尋ねてみると、どちらでも同じという答が返ってきた。ということで榛名富士の麓の様子が間近に見られる東岸の道を行くことにした。しばらく33号線を東に向かい、左に曲がって北に向かう道を進むことになる。

歩きながら、榛名湖とそれを囲む山々を眺められるので、この火山の特徴を確認しておくことにしよう。木崎喜雄の論考「山の地質」(『榛名と伊香保』(みやま文庫7、1962)所収)では以下のように説明されている。

「榛名山の頂上に近い部分にはヤセオネ峠・臥牛山・烏帽子岳、鬢櫛山、掃部ヶ岳・天神峠・氷室山・天目山・磨墨峠などを連ねる楕円形の山並みが榛名富士や榛名湖のある窪地を囲んでいる。この窪地はカルデラであり、楕円形にならぶ山並みはカルデラ壁である。(中略)その外側が外輪山でその下部は裾野として広くひろがる。西側では古い安山岩の山地にはゞまれて裾野の発達がやゝよくない。カルデラの低い部分には榛名湖の水がたゝえられ、榛名富士の美しい姿を写している。榛名湖の東にそびえる榛名富士はカルデラの中央に噴出した中央火口岳であって、そのととのった山容は典型的な溶岩円頂丘である。蛇ヶ岳も小さいながら一つの中央火口丘である。カルデラ壁の東端附近には相馬山、二ッ岳、水沢山等の山体が肩をならべてそびえ、榛名山にいかつさをそえている。これらの山体はいづれも寄生火山である。榛名山は典型的な二重火山で、外輪山を作った古期活動と中央火口丘や寄生火山を作った新期活動とによってつくられた火山である」

ちなみに、この東岸に沿って進む道は、榛名富士とヒトモッコ山の間を抜けるときに蛇行する道を上り下りしなければならないので、平坦な道を望む人は避けたほうがよいだろう。

榛名湖バス停から歩き出して、25分弱で榛名湖温泉ゆうすげに到着。入口を入り、フロントでどちらのお湯にするか尋ねられて、ゆうすげには本館と姉妹館のレークサイドゆうすげがあることを思い出した。いま、われわれがいるのは本館であるゆうすげ元湯のフロントで、道をはさんで反対側、少し先にいったところにレークサイドゆうすげがある。

本館の温泉が循環で、レークサイドゆうすげが源泉かけ流しのはずだから、お湯に限れば後者のほうがそれはありがたいが、限られた時間のなかでゆっくりしたいので、また移動するのではなく本館の湯に浸かることにした。ちなみに大人の料金は、本館が510円、レークサイドが400円。

浴場は2階にある。1階のフロントとお土産も各種そろった売店のうえが吹き抜けになっていて、2階のスペースもゆったりしている。本館の湯船は、広めの内湯と小ぶりな露天風呂にわかれている。汗を流してまず内湯にしばらく浸かる。それから露天風呂へ移動。小ぶりだが、先客は親子ひと組だけだったので、ゆったり浸かれた。ただし、外側には仕切りがあり、湖や外輪山は仕切りに組み込まれたフェンスの間から見えるだけだが、天気がよいので青空と雲を眺めながら湯に浸かっているだけでかなりくつろげる。

着替えをすませ自販機でビールを購入。通路にテーブルと椅子がそなえられているので、そこで湯上りの一杯を味わう。ちなみに、ゆうすげのHPによれば、温泉の泉質は、ナトリウム・マグネシウム・カルシウム‐硫酸塩・塩化物温泉、効能は、神経痛・筋肉痛・関節痛・運動麻痺・うちみ・くじき・痔疾・きり傷・虚弱児童・五十肩・冷え性・やけど・慢性消化器病・婦人病をはじめ、病後回復、疲労回復、健康増進等とのこと。

少し用心して16:30頃にゆうすげを出発。今度は湖の西岸に沿う道をたどって榛名湖バス停に戻る。行きの道では、目的地がヒトモッコ山と榛名富士のかげに隠れていたので、先が見えないところがあったが、帰りは平坦な道で、視界も開けているので、比較的余裕をもって歩ける。

行きは対岸に烏帽子岳、鬢櫛山、掃部ヶ岳などを眺めながら歩いたが、戻りでは天目山や氷室山、相馬山などが眺められる。もちろんどちらから歩いても、榛名富士が一番目立つことにかわりはないが。風呂上りなので、風が気持ちいい。

バス亭がだいぶ近づいてきたところで、湖畔にたつ小さな碑が気になった。「榛名神社々有地」と書かれている。それが具体的にどういう土地を意味するのかは定かではないが、昔は榛名神社と榛名湖は、水を通していまよりも深く結びついていたのではないかという気がする。以前にも引用した今井善一郎の論考「山の神々」(『榛名と伊香保』(みやま文庫7、1962)所収)には、沼神の信仰について以下のような記述がある。

「榛名神の信仰の一部に沼神の信仰がある。その現在の信仰はやはり農業神としてのものである。即ちこゝでは榛名神は雨乞いの対象として尊信されている。干魃の年には、榛名神社の神前の万年泉の水を乞うて汲み、之を村里に持ち帰って、村の神前に供え、或いは村の泉に加えなどして雨乞いが行われる。しかもある村にあってはこの泉を用いず、榛名湖の水を汲んで用いる処もある。昔は神社域の湖から、自分の村迄この神水は地上におかれる事なく、又休む事なく持ち運ばれる例の処もあった。斯様な場合、村からは数人の運び手が、途中に待機して恰かも今日のリレー競争の如く神水を順次に逓送したという。この費用は相当莫大にのぼるので現在ではこの方式は殆どすたれたという。(一宮氏談)」

17:00を回った頃には余裕でバス亭に到着。1日目は水澤観世音に参詣し、水沢山に登り、伊香保温泉の湯に浸かり、2日目は榛名神社に参詣し、天狗山に登り、榛名湖温泉の湯に浸かった。思わぬ勘違いで予定変更もあったが、両日とも霊場を訪ね、山を歩き、温泉に浸かることができた。

(夏の伊香保・榛名 了)

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