酒田の街と『おくりびと』ロケ地と鳥海山荘――鳥海山に登る その一 | 楽土慢遊

酒田の街と『おくりびと』ロケ地と鳥海山荘――鳥海山に登る その一

鳥海山荘の窓から110812
所在地:
山形県飽海郡遊佐町・酒田市/秋田県由利本荘市・にかほ市
交 通:
JR羽越本線・酒田駅→(送迎バス)鳥海山荘→(徒歩約15分)湯ノ台口コース登山口

2011年8月12日(金):晴れのち曇り:横浜→東京→新潟→酒田→『おくりびと』のロケ地→日和山公園→(送迎バス)→鳥海山荘

■夏は伯耆大山か鳥海山のどちらかに登ろうと考えていて、GWに東北に行っているので、最初は大山にするつもりだったが、希望する列車の予約がとれず、無理なスケジュールを組むよりもと思い、鳥海山に登ることに。

チケットを購入するときに、みどりの窓口の人にすすめられ、「庄内フリーきっぷ」を利用することにした。旅の予定が4日でフリーきっぷの有効期間も4日。上越新幹線と特急いなほで東京と酒田を往復するだけでも一人につき4500円くらい安くなる。これを使わない手はないだろう。

早朝5時前に家を出て、電車で東京駅に向かう。新幹線のホームに移動する途中で弁当を買い、6時過ぎに出るMaxときに乗り込む。新潟までは2時間強。新潟で特急いなほに乗り換え、10時半過ぎに酒田駅に到着。このときはまだ薄日がさしていた。

本日の宿である鳥海山荘の人が14時に酒田駅まで車で迎えにきてくれることになっている。それまでは酒田の街の見物だ。まず重たいザックをコインロッカーに預ける。次に駅の案内所で観光用自転車を借りる。これは無料で、街のなかに十数か所ある貸出所のどこで返却してもいい。

まずは腹ごしらえ。自転車に乗って大きな寺が並ぶエリアを通り抜け、いろいろな店が並ぶ柳小路の周辺をうろつき、和食の店さくら亭に入る。ご主人がとても気さくな方で、北前料理や料亭文化のことを話してくれた。やはり魚がうまかった。

本当はこの見物の時間に土門拳記念館に行こうと思っていたのだが、最上川を越えたその先でそこそこ距離があり、ゆっくり過ごせそうもないので、もっと近場の見物に切り替え、まずは酒田港を見渡せる日和山公園に向かう。公園の手前は坂道になっているのだが、そこをのぼっていくときに、ある建物の入口が目にとまった。

どこかで見たような…あれっ、NKエージェントって確か『おくりびと』に出てくる旅立ちのお手伝いをする会社なのでは…まったく予期していなかった遭遇に面食らい、ふと振り返ってみると、道の反対側を自転車を押してのぼってきた中年女性が筆者の方をみながら、二度、三度深く頷いていて、しかも彼女が心なしか余貴美子に似ているような気もして…。

筆者は映画のロケ地に行きたいと思うようなタイプではないが、いきなり映画の世界が目の前に現れるとさすがに不思議な気持ちになる。

NKエージェントの向かいには日枝神社。鳥居のかたちがちょっと変わっている。

日和山公園には、明治28年に宮野浦に建てられたという洋式木造の六角灯台がある。蝉がなんとも賑やかだった。

公園から引き返し、坂を下った少し先を左に曲がると、往時の料亭文化を今に伝える「山王くらぶ」がある。内部は、「夢二の間」、「北前船の間」、「酒田商人の間」、「文人墨客の間」など各部屋の意匠が異なっているらしい。ゆっくりできないのがわかっているので、なかには入らなかった。

あとは街を適当に回りながら駅へ。14時ちょうどに駅前に到着。鳥海山荘の車がすでにきていたので、自転車を急いで返し、ザックを回収して車に乗り込む。なかには同じ時間に迎えを頼んでいたらしい先客がいた。われわれよりも年配のご夫婦だ。よく鳥海山荘を利用され、以前は鳥海山にもよく登られたようだ。

そのご主人から最初に尋ねられたのは、鳥海山荘にいつ予約を入れたのかということ。筆者が予約の電話を入れたのは7月の16か17日で、間違いなく1ヶ月は切っていた。それで部屋がとれたというのは、実はとんでもなくラッキーなことだったらしい。よく利用する人たちは、泊まったときに翌年の予約を入れて帰っていくのだそうだ。

筆者は湯ノ台のコースを登りたくて、そのためには鳥海山荘に泊まるしかなかったので、電話を入れたのだが、もしかしたらちょうどキャンセルが出たところだったのか、洋室なら空きがあるといわれたのでお願いしただけだったのだ。

そして、実際に到着してみて人気の理由がよくわかった。料金はリーズナブルでありながら、設備が整っていて、やたらと居心地がいい。大きな暖炉のあるロビー、ゆったりとしたレストラン、客室は和室と洋室があり、全室テラス付きで、北側は鳥海山が、南側は日本海が眺められる。天然温泉のふたつの浴場にはそれぞれに露天風呂がついている。

われわれが泊まったのは、北側の洋室だったので、天気がよければ鳥海山が眺められたはずだが、森敦も書いていたように、そう簡単に見える山ではない。このベッドかソファに横になって、鳥海山を眺められたら、かなりの贅沢といえる。浴場は南側で、露天風呂にも入った。もちろん日本海はガスの彼方だった。

明日の天気はあまり期待できないが、いずれにしてもかなりの距離を歩くことになる。

鳥海山に登る その二につづく)

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