湯ノ台口コース後編:お花畑と雪渓と御室――鳥海山に登る その三 | 楽土慢遊

湯ノ台口コース後編:お花畑と雪渓と御室――鳥海山に登る その三

所在地:
山形県飽海郡遊佐町・酒田市/秋田県由利本荘市・にかほ市
交 通:
JR羽越本線・酒田駅→(送迎バス)鳥海山荘→(徒歩約15分)湯ノ台口コース登山口

2011年8月13日(土):曇りのち雨:八丁坂→河原宿→心字雪→薊坂→伏拝岳→行者岳→御室小屋

■(鳥海山に登る その二からのつづき)最初に夏場の鳥海山について簡単におさらいを。以下の文章は『鳥海山』(鳥海山大物忌神社)からの引用。

鳥海山の六、七月は、新緑と残雪の対比がみごとである。消えかかった雪の間から、可憐な高山植物が一気に芽を吹き出す。やがてニッコウキスゲやチングルマが登山客を迎えてくれる

七月から八月にかけては小笠原高気圧に覆われて、晴天と高温の日が多くなる。しかし鳥海山頂付近ではみぞれが降ったり、夜間、氷点下近くなることがあるので、装備には万全を期す必要がある

それでは、その二からのつづきを。湯ノ台口コース、八丁坂の急な斜面を登っていく。滝ノ小屋からの道との合流点を過ぎたので、徐々に登山者が増えてくる。われわれと違って、まだ歩き出したばかりなので勢いがある。

ガスがかかってなければ、ここからは日本海や庄内平野が見下ろせるらしい。周囲はお花畑。高山植物の宝庫といわれるだけあって、色とりどりの花々が美しい。

坂を登りきると水が流れる音が聞こえてきて、間もなく沢に出る。その沢に沿うように平坦な道を進むと、左手に河原宿小屋が見えてくる。

小屋の前には雪渓から流れてくる川があり、水場になっている。小屋の前で軽く食事をとり、トイレをすます。小屋の前からは、ガスの合間にこれから向かう雪渓が見える。

ここで濃いガスがかかると道を失う危険があるが、今日はその心配はない。ときどき青空ものぞくようになった。鳥海山荘の迎えの車でご一緒した男性が、この雪渓の下でビールを冷やしたという話をしていた。想像しただけでもうまそうだ。

雪渓を渡り、だいぶ疲労感が出てきたが、実はたいへんなのはこれからだ。急坂の薊坂へと向かう。

薊坂に入ったあたりから雲行きが怪しくなり、雨が降り出した。カメラをしまったのでここから先は写真を撮れない。薊坂は、傾斜がきつく、段差も激しく、かなりこたえた。坂を登りきったところの伏拝岳からは、視界が良好であればいっきに展望が開け、山頂がある新山が迫ってくるらしいが、残念ながらなにも見えず。

風も強くなってきたので先を急ぐ。行者岳を過ぎたところで、数人の登山客とすれ違う。山頂から下ってきたところかと思うが、この天候で下山はしんどそうだ。間もなく、七高山方向と内壁方向の分岐に出る。

そこで後から来た単独の若者に声をかけられ、山頂への道を尋ねられた。こちらもはじめて歩く道で、視界もきかず、地図のうえではどちらからでも行けそうだったが、彼も悪天候のために迷っていたらしく、突然、下山しますといって道を戻っていった。

内壁への鉄梯子を下りているときに、七高山方向に向かった男女が戻ってきた。雪渓でわれわれが道を教えていただいた方々だ。コースをよくご存知のようなので鉄梯子の下から先に行っていただく。ここから御室小屋までは、距離はそれほどでもないが、岩稜を巻く細い道やガレ場だったので、先導者がいるのは助かった。

無事に御室小屋に到着。小屋の方によれば、このような天候のときには体感温度が5度くらいになるという。確かに寒い。大部屋の隅を確保して、座り込む。さすがに疲れた。隣に陣取った先ほどのお二人が、われわれの分まで外でお湯を沸かしてきてくださったので、お礼にワインのミニボトルを一本進呈した。

この日は予約はいっぱいだったらしいが、天候の悪化で道を途中から引き返し、小屋まで来られなかった人も少なくなかったようだ。

食堂でいただく夕食は、ご飯と味噌汁に漬物や山菜などが中心のおかずという非常に質素なもので、これは参籠所だからというだけではなく、場所が場所だけに出せるものに限界があるのだろう。ワインを進呈したお二人はそれをよくご存知だったようで、素泊まりで自炊されていた。

鳥海山に登る その四につづく)

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