三斗小屋温泉から大峠を経て三本槍岳へ――紅葉の那須岳 その六 | 楽土慢遊

三斗小屋温泉から大峠を経て三本槍岳へ――紅葉の那須岳 その六

所在地:
福島県西白河郡西郷村、栃木県那須塩原市
交 通:
三斗小屋温泉からの登山

2009年9月22日(火):曇りときどき晴れ:三斗小屋温泉→赤岩沢→中ノ沢→峠沢→大峠→鏡ヶ沼展望所→旭岳方面分岐→三本槍岳山頂

■(紅葉の那須岳 その五からのつづき)三斗小屋温泉・大黒屋の新館にある部屋に泊まり、4:00には目が覚める。消灯の21:00以前にふとんにもぐりこんでいたので、よく眠った。朝食までまだ時間があるので、地図などを見て過ごす。

その一で少し書いたように、「白湯山」と呼ばれるかつての山岳信仰では、この三斗小屋温泉から下ったところにあった三斗小屋宿が、湯本温泉とともに登山口となっていた。

その三斗小屋宿は廃村となったが、三斗小屋宿跡には墓碑、石仏、石像などが多く残っているという。地図では温泉から三斗小屋宿跡まで下りになる往路が1:00、復路が1:20と書かれている。今度来たときにはぜひ立ち寄ってみたいと思う。

水の補給など出発の準備をして、朝食の時間を待つ。大黒屋では食事が部屋まで運ばれてくる。6:45には食事を終え、7:00前に宿を出発した。本日は三本槍岳に登り、茶臼岳方向に戻るのではなく、三本槍岳から東にのびる中の大倉尾根を通って北温泉に出て、旭北湯入口バス停からバスに乗る予定だ。

バスの本数はだいたい1時間に1本で、終バスが16:43なので、15:38のバスに乗れればと思っている。三斗小屋温泉から三本槍岳に登るには、隠居倉を越えて清水平に出るコースと、北に向かって大峠から登るコースがあるが、昨日、隠居倉から下ってきたので、大峠のコースを行くことにする。

まず三斗小屋温泉からは大峠に向かって北にのびる道を行く。最初は樹林のなか、急な下りになる。なぜかそこだけきのこがたくさん生えている一角があった。赤岩沢の手前で樹林が途切れ西側の視界が開ける場所があり、流石山がよく見えた。大峠から流石山にかけては花畑が広がっているようなので、花の季節にそちらにも登ってみたいと思う。

下りが終わると沢に出る。大峠までには、順に赤岩沢、中ノ沢、峠沢という三本の沢を渡る。その五では、三斗小屋温泉の由来について、廣本祥己の論考「山岳信仰を支えた温泉――那須岳を例として――」(日本温泉文化研究会・編『温泉の文化誌 論集【温泉学Ⅰ】』所収)を引用した。その引用のなかで取り上げられていた「下野国三斗古谷温泉伝記」のテキストにはもう少しつづきがあり、それが沢と関係している。

「(温泉を発見した)生嶋氏は病気平癒の後にたびたび多くの人を連れてきたが、当時板室からの谷川には橋もかかっておらず、人々は三つの古谷を渡ることを憂いたため、地名が「三渡古谷(さんどこや)になったと、地名の由来についても書かれている

それが実際にどの古谷を意味するのか筆者にはわからないが、三本の沢はそんなことを思い出させる。ちなみにこの三本の沢には橋はかかっていないので、雨などによる増水時には注意を要することになるだろう。

三本目の峠沢を渡ると今度は急な上りになる。樹林がクマザサに変わると視界が開け、大峠に到着する。この十字路を左に行けば大峠山〜流石山、直進すれば会津落合方面、右に行けば三本槍岳だ。

大峠については会津中街道の要衝だったということしかわからないが、そこに立つ石の地蔵を見ていると、いろいろ歴史がありそうに思えてくる。十字路には一体の石の地蔵が立っている。さらに少し奥まったところに五、六体の地蔵がひっそりと立っている。

十字路の地蔵は比較的新しく、奥の地蔵は風化し、どれも頭がなく、代わりに石が乗せられている。おそらく奥の地蔵は、かつては周辺に別々に立っていたものだろう。それが廃仏毀釈で破壊され、放置され、後にそこに集められたと思われる。丹沢・大山の善波峠や裏参道でもこういう地蔵を目にする。

大峠で小休止してから三本槍岳に連なる尾根にとりつき、笹原を登っていく。稜線の先に三本槍の山頂が見える。

登山道わきのカエデが色づいている。花の時期ではないがシャクナゲも目につく。南の遠方に目をやると、熊見曽根の向こうに茶臼岳の頭が見えるようになる。

高度を上げていくにしたがって山全体の紅葉が際立つようになる。色とりどりの紅葉が非常に美しく、目を奪われる。

三本槍岳山頂の手前にある1826mのピークが次第に迫ってくる。見上げてみるとピークの周辺が紅葉に覆われているのがよくわかる。

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1826mのピークは、北面直下にある鏡ヶ沼の展望所にもなっている。大峠から会津落合方向に少し進み、この鏡ヶ沼のわきを通って三本槍岳に登るコースもそそられたのだが、尾根の展望所から見る鏡ヶ沼も素晴らしい。近くで見るよりも画になっているのではないか。

このピークからは鮮やかな紅葉の尾根の向こうに、流石山から、大倉山、三倉山へと弧を描く稜線が見渡せる。

ピークの南面の紅葉。中腹よりも色が鮮やかさを増し、圧巻である。

圧巻の紅葉のなかをさらに進むと、三本槍岳の北にそびえる旭岳からの縦走路に合流する。この分岐から山頂までは15分。

縦走路に入ったところから山頂を見上げる。雲の切れ間から光がさしてくる。

10:20に広々とした山頂に到着した。

紅葉の那須岳 その七につづく)

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