五丈岩から岩稜を経て里宮平に下る――金峰山に登る その三 | 楽土慢遊

五丈岩から岩稜を経て里宮平に下る――金峰山に登る その三

金峰山120715_2
所在地:
長野県南佐久郡川上村/山梨県甲府市
交 通:
みずがき山荘バス停(山梨峡北交通・韮崎瑞牆線)―(バス80分)→JR中央本線・韮崎駅

2012年7月15日(日):曇りときどき晴れ:山頂→五丈岩→千代ノ吹上→砂払ノ頭→大日岩→富士見平→瑞牆山荘

■(金峰山に登る その二からのつづき)雨がすぐにやみそうもなく、広いとはいえない山頂も混み合っているので、南側に少し下った五丈岩に移動することにする。その移動中に雨がおさまり、カメラを出せるようになった。五丈岩の前にはスペースがあり、落ち着ける。

金峰山では山頂よりも五丈岩の方が重要な意味を持っているといえる。この山は近代登山の隆盛のなかで奥秩父という領域に組み込まれることになったが、それ以前に信仰の山としての長い歴史がある。

山の考古学研究会編『山岳信仰と考古学Ⅱ』に収められた櫛原功一の論考「甲斐金峰山と金桜神社」では、その信仰が以下のように説明されている。

金峰山信仰とは、山頂付近に聳える高さ約20mの花崗岩岩体、「五丈岩」を信仰の対象とする磐座信仰を起源とする。五丈岩は太平洋側へと注ぐ笛吹川支流の荒川と日本海へ注ぐ千曲川の「水ノ元種」といわれ、岩と水源が結びついた点に特徴がある

山の大きさは登山道によって決まるところもあるが、信仰登山の時代にはかなり深く大きな山だったといえる。前掲同書には以下のように書かれている。

かつては御岳金桜神社(甲府市御岳町)より山頂を目指す南口が正式ルートで、甲府より片道1泊2日の行程を要した奥山であった

現在の道標では、「黒平・昇仙峡」に至るコースがそれにあたる。このコース、五丈岩に至る手前には、ハシゴ・クサリがあり、急坂がありで、1泊2日をかけて最後に難所を乗り越えた後に仰ぎ見る五丈岩には強烈なインパクトがあったことだろう。

前掲同書によれば五丈岩の周辺からは、土器・陶磁器、銅板片、土馬、水晶製数珠球、鉄釘、古銭などが見つかっているという。

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下山ルートは、韮崎駅行きのバスが出ている瑞牆山荘が終着点になる。まだ天候がどうなるかわからないので、とりあえずレインウェアを着たままで出発することに。

ガスが少しとれてきて、これから歩く奥秩父主脈の稜線が見えてきた。

このコースはガレた道がつづく。膝が本調子ではないパートナーには負担になるので、スローペースで進む。大岩が完全に道を塞いでいる場所もあるが、人がそれほど多くないのでわずかな渋滞で通り抜けられる。コースを登ってくる人たちはレインウェアを着ていない。すれ違った男性と話をしたら、下の方はほとんど降らなかったとのこと。

まだ雲はたれ込めているが、雨が降り出してからガスに隠れていた小川山がまた見えるようになってきた。

このコース、長野側と山梨側ではまったく風景が違う。長野側は傾斜が比較的緩やかで、ハイマツなど緑に覆われている。山梨側は険しい断崖がつづき、植物はあまり見られない。那須の朝日岳もこんな感じで、北面と南面ではまったく風景が違っていた。

晴れ間が見え、暑くなってきたので、休憩してレインウェアを脱ぐことに。登ってくる人がだんだん増えてきた。

独特の山容の瑞牆山や南アルプス方向など、ガスがとれて展望が開けてきた。雲とのコントラストがなかなか美しい。

千代ノ吹上と呼ばれる断崖絶壁の縁を通過する。見事に切り立っている。地図には危険のマークがついている。

砂払ノ頭に到着。展望はここまでで、次のポイントである大日岩までほとんど樹林帯のなかを下っていく。

樹林帯に入るといきなりの急斜面。登ってくる人たちがかなり苦しそうに息を切らしている。

巨岩がむき出しになった大日岩の上部に到着。ここから岩の脇の道を下っていく。

大日岩は上だけ見るとそれほどでもないが、下から見上げるとかなり迫力がある。

大日岩から大日小屋までまた急斜面がつづく。縦八丁と呼ばれる急坂とのこと。大日小屋の上の方が広場になっているので、そこで小休止してフルーツなどを食べる。大日小屋から富士見平小屋まではゆるいアップダウンで時間を稼ぐ。里宮坂に入って再び急斜面になるが、それを下りきると平坦な道になり、15:00過ぎに瑞牆山荘に到着。バス停は山荘の目の前にある。とりあえず汗を拭き、自販機のビールを買って飲む。さすがに美味い。14:25のバスは逃したが、終バス(16:35)のひとつ前の15:25のバスに乗れた。

瑞牆山荘と韮崎駅を結ぶ韮崎瑞牆線のバスは、増富温泉を経由する。時間に余裕があれば、ラジウム温泉峡 増富の湯で温泉につかって帰るのがいい。(金峰山に登る 了)

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