八甲田ロープウェーで田茂萢湿原へ――八甲田山に登る その一 | 楽土慢遊

八甲田ロープウェーで田茂萢湿原へ――八甲田山に登る その一

所在地:
青森県青森市、十和田市
交 通:
東北新幹線新青森駅→奥入瀬渓流・十和田湖行きバス、八甲田ロープウェー駅前下車

2012年8月14日(火):晴れ:東京駅→新青森駅→八甲田ゴールドライン(JRバス)→ロープウェー駅前バス停→山頂公園駅→田茂萢湿原






■東北にはよく行くが、青森県の山にはまだ登っていない。今年の夏山は、岩木山と白神山地の組み合わせか、八甲田山かで迷い、計画が立てやすそうな八甲田山にした。八甲田山は、十和田八幡平国立公園の北部に位置する連峰の総称で、この地区を横切る国道103号線を境にして、北側の北八甲田連峰と南側の南八甲田連峰に大きく分けられる。

「山と高原地図」やその他のガイドによれば、北では登山道が比較的よく整備されているが、南はあまり整備されていない。北八甲田には、最高峰の八甲田大岳、前嶽、田茂萢岳、赤倉岳、井戸岳、硫黄岳、石倉岳、小岳、高田大岳など10峰がある(うち前嶽と硫黄岳には登山道が通じていない)。南八甲田には、最高峰の櫛ヶ峰上岳、下岳、横岳、逆川岳、駒ヶ峰、猿倉岳、乗鞍岳、南部赤倉岳の8峰がある(うち下岳、横岳、逆山岳には登山道が通じていない)。

今回の計画のポイントになるのは、八甲田ゴールドライン(国道103号線)に沿って点在する温泉をめぐりつつ、北と南の両方の山に登るところ。初日は北の赤倉岳に登り、酸ヶ湯温泉に泊まり、2日目は同じく北の小岳と最高峰の大岳に登り、猿倉温泉に泊まり、3日目は南の櫛ヶ峰のコースを行けるところまで行って、谷地温泉に泊まる予定だ。

横浜から東京駅に向かい、駅の売店で弁当と飲み物を購入し、朝一番の新幹線「はやぶさ」に乗り込む。関東の空は曇っているが、東北北部は晴れの予報になっている。北に向かうに従って天気がよくなるはずだ。

10:00前に終点の新青森駅に到着。青森の空は予報どおりによく晴れていた。十和田湖行きのJRバス「みずうみ号」が出るまでそれほど時間はなかったが、はじめて降りる真新しい駅なので、土産物店などが並ぶエリアを少し歩いてみる。


バス乗り場は近くてわかりやすい。「みずうみ号」は本数が多くないので、乗り遅れるわけにはいかない。青森駅始発で、新青森を10:10に出る便を逃すと、次の便まで90分待たなければならない。

バスに乗り込み無事に出発。目的地の八甲田ロープウェー駅前までは1時間弱だ。バスが高度を上げていくと緑の高原の向こうに青森市街が一望できるようになる。途中で岩木山展望所を通るが、座席の位置が悪くよく見えなかった。

目的地の手前、萱野高原に建っている萱野茶屋でバスが数分、休憩する。終点の十和田湖まではだいたい3時間かかるので、このように途中でトイレのための休憩が何度か入るのだろう。萱野茶屋の前には「長寿のお茶」が備えられていて、無料で飲める。筆者の記憶が正しければ、「1杯飲むと3年、2杯飲むと6年長生きし、3杯飲むと死ぬまで生きる」と紹介されていたと思う。

ロープウェー駅前に到着。道路も駐車場もだだっ広い。その駐車場の向こうに建っているのが八甲田山荘。今回は利用しないが、登山やスキーの基地になっている。

体感としての山が一気に小さくなってしまうので普段はロープウェーのお世話になることはないが、今日は時間が限られているので利用する。まず窓口で荷物を預ける。最近は大きなザックに荷物を全部詰めて移動するのではなく、(可能であればだが)小型のザックと手荷物に分けて、登るときには手荷物を預けるようにしている。山麓駅と山頂駅にはコインロッカーはないが、1つ200円で荷物を預かってくれる。

駅は登山が目的ではない観光客でけっこう混んでいて、乗り場につづく階段に列を作っていた。通路には、映画『八甲田山』の撮影時の写真がパネルになって壁に並べられている。高倉健も秋吉久美子もみな若い。

ロープウェーのゴンドラは101人乗りなので、列は作っていてもたいして待たされることはない。並んでから2台目に乗れた。ゴンドラが高度を上げていくと、少し霞んではいるが窓から陸奥湾まで見渡すことができた。

終点のロープウェー山頂公園駅は、北八甲田連峰を構成する峰のひとつ、田茂萢岳(たもやちだけ)の山頂近くにある。登山道が通じていない前嶽(1252m)が目の前に見えてくると間もなく終点に到着する。


山頂公園駅付近の展望は素晴らしい。南の方向に目をやると、笹原と湿原の向こうに南八甲田連峰が見渡せる。右手前のピークが横岳(1339m)、中央にそびえているのが最高峰の櫛ヶ峰上岳(1516m)、その左にあるピークが駒ヶ峰(1416m)だ。

山頂公園駅からまずは散策コースをたどることにする。ロープウェーのパンフレットにはこの一帯について以下のような説明がある。

ロープウェー山頂公園駅のある田茂萢岳一帯は、10指に余る池や沼が散在し、高山植物の一大宝庫となっているところで、八甲田山でも最もすばらしい一つに数えられているところであります。この雄大な自然を散策する遊歩道が、ひょうたん型をしているところからゴードラインという名で呼ばれているもので、老若男女を問わずだれもが気楽に散策できます

湿地帯の向こうにそびえているのが、本日これから登る赤倉岳(1548m)。ひょうたん型の散策コースの先のところから登山道に入る。その分岐から1時間足らずで頂上まで行ける。これならこの時間からの登山でも無理はない。明日の山登りのためのいいウォーミングアップになりそうだ。

散策コースから赤倉岳、井戸岳(1550m)、北八甲田連峰の最高峰である大岳(1585m)を眺める。大岳には明日、麓の酸ヶ湯温泉から登る予定。この散策コースからそのまま酸ヶ湯温泉まで歩けるコースもある。その場合の所要時間は分岐から約2時間。

ロープウェーのパンフレットには、八甲田の高山植物としてミヤマオダマキ、ミツガシワ、シラネアオイ、キンコウカ、イワナシ、アカモノ、ミヤマリンドウ、イワオトギリ、ショウジョウバカマが小さな写真とともに紹介されている。

時間があれば植物もゆっくり観察したいところだが、われわれはひとまず赤倉岳に向かう。天気がよいので足取りも軽くなる。(八甲田山に登る その二につづく)


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